緋色と翡翠雫の欠片


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祐一×珠紀

Destiny

お久し振りです。

早い更新は久方ぶりですね。さて、こちらは、初リクエスト作品を掲載します。

祐一×珠紀で甘い甘い作品をとのことで書き上げたものです。甘いかは読んでからのお楽しみです。



                                           作成者 華





 Destiny








 桜が咲く季節をすぎれば、長い夏の始まりに初めて季封村で過ごす夏休みを春日珠紀は楽しみにしていた。

大学生となり,村から離れた場所に住むようになった恋人の狐邑祐一がこの村に帰ってくるからである。

珠紀自身も今年は受験生ということもあり遠距離恋愛を余儀なくされていた二人には、逢える時が極端にすくなかった。

電話や手紙でそれぞれの近況などは、報告しあってはいたがやはり声だけでは寂しさをうめることはできなかった。

祐一は珠紀の受験の妨げにはなりたくないと思っていたので出来るだけ直接会うことを躊躇っていたことも大きな要因だ。

 だけど…それにはお互いの忍耐が必要で、逢えない日々を互いへの想いだけを募らせていく結果にもなっていた。

 それはいつものように他愛のない話しを電話口ではなしていたときだった。

『…それで拓磨が遼に…』
珠紀は学校で起こったことを楽しそうにはなせば…

『…珠紀』
祐一の声が低く珠紀を呼ぶ。

『どうしたんですか?』
『いや、拓磨達が羨ましく思っただけだ』
『?先輩』
『俺は珠紀を声でしか感じられない』
祐一のその声が寂しいと珠紀に会えないのが悲しくて仕方ないと聞こえてくる。

 珠紀は受話器を握りしめながらを顔を伏せるとポツリと零す。

『私も…逢いたいです…』
祐一先輩に逢いたいと珠紀は心から思う。

 声だけではなく直接逢いたい、あって祐一のきれいに優しく微笑む顔が見たい。

 そっと頬を撫ぜる温かい祐一の手を思い出して、悲しくて寂しくて叫びだしそうだ。

『珠紀…』
『祐一先輩…』
声だけを頼りにすがるような切ない気持ちが二人を包む。

 触れたいと思う。

 抱きしめたいと思う。

 懐に掻き抱いて強くその存在を確かめたい。

 もどかしく思う。

 歯がゆいと思う。

 何故ここに狂わしく恋しいと思う者がいないのかと空しくなる。

覚悟したことなのに考えるよりも近くにいないというだけで、駆け出してしまいそうである。

『珠紀…愛してる…お前の傍らに今直ぐ戻りたくなる』
受話器の向こうで苦しげで切ない祐一の声音に珠紀は居た堪れなくなる。

 叶うなら今直ぐに飛んでいき、愛しい恋人の存在を体全体で強く抱きしめたくなる。

『私も愛してます。貴方の傍らでこの気持ちを感じさせてあげたいです』
愛しくて仕方がない際限なく広がっていく祐一への想い。

『珠紀…珠紀…今直ぐ逢いたい抱きしめて、片時も離さないのに…』
どうしてこんなに愛しいのか、この胸を焦がすほど激しく求めてしまうのか、ただ珠紀が恋しくて傍にいないことが信じられない。

 受話器の向こうの温もりがただ感じたくて祐一と珠紀は吐息さえ拾おうとした。

言葉だけでは埋められない喪失感をこうしていれば少しだけ軽くなるきがした二人だった。

 あれからどれだけ時間が過ぎたのか解らないが、夏休みに会う約束だけを確認して、電話を切ったのだった。



    

    ◇ ◇ ◇ ◇





 休み前に約束したとおり二人は、待ち合わ先で久方ぶりに会う。

 こうして顔をあわせるのも二ヶ月ぶりだった。

互いの息災ぶりは何度も電話や手紙などで確認はしていてもこうして目の前で温もりが感じられるほど近くにいるのとはやはり違う。

自然と視線が絡んで思わず笑みを交し合う。

「おかえりなさい」
珠紀が祐一に笑顔で応える。

「ああ、ただいま」
祐一も笑顔でその言葉に返す。

 どちらともなく身体を寄せ合い、指を絡めてしっかりと握り締める。

繋いだ手とともにゆっくりと歩き出す二人。

電話で声は聞こえた気持ちも何度も確かめ合った、それでも互いの顔が見えない手を繋いだり体を寄せ合うことも抱きしめ合うこともできなかった。

無性に恋しくて恋して狂わしく見えないことの不安との戦いでも思った。

 でも…今は…焦がれた恋人がいるすぐ傍らにいる。

 それだけで幸せで、気持ちが明るく楽しくなってくる。

二人は夏の強い日差しを背に受けて、伸びた先の互いの影も寄り添っているのを見つめる。

珠紀の白い帽子がよく似合う青空と真青な緑が賑わう蝉の鳴き声に祐一は恋人の存在と村の夏を感じた。

都会ではただじめじめとした不快感な夏もここでは山風を通る風が夏といえど清清しく感じる。

「やはりここはいい」
祐一の何気なく呟かれる言葉に珠紀は風になびく髪を押さえてその顔を横から見上げる。

「祐一先輩」
「なんだ」
優しいまなざしで珠紀を見下ろす祐一。

「私も始めてこの村で夏を迎えたんですよ」
「そうだったな」
背の高い祐一見上げる珠紀の瞳が輝いている。

「はい、私も都会の夏なんて、考えられないほど…」
「…ほど?」
答えなどわかっているだろう祐一の楽しげな問いかけに…

「ここは過ごしやすいですね」
「……」
珠紀の笑顔が眩しくて、祐一は繋いだ腕を持ち上げてそっと口元に引き寄せる。

「先輩?」
珠紀の揺れる視線が口角を持ち上げた祐一の唇が軽く繋い手の甲に押し当てられた。

 ぶわっと珠紀の手の甲に触れた祐一のやわらかい唇の感触に一瞬にして、珠紀は顔を真っ赤に染める。

「珠紀…出会った頃の紅葉のようだぞ」
声が楽しげに囁くように微笑んだ祐一の感想に珠紀はさらに赤く染まる。

「せん、先輩が変なことをするからですっ…」
自分のせいではないと珠紀は言いたいらしい。

「珠紀が可愛いことをいうからだ」
「私は可愛いことなど…」
「いった」
「?」
祐一は珠紀の手を引き寄せて、その腕に恋人を抱きとめる。

 突然な台詞にも驚く珠紀はさらに驚いた顔で胸当たる頬を引き上げ見下ろす祐一と視線を絡ませた。

「!!」
ゆっくりと有無をいわせず口付けられて、ただおどろくばかり。

 緩慢に動く唇に珠紀は為す術もなく翻弄される。

軽くてふわふわした優しい口付けも急く様な荒々しい口付けも全て祐一が珠紀に齎す情熱の証。

気がつけば祐一の思うさまに貪られそれを嬉々として受け入れる珠紀がいた。

キスされたときと同じように離れていく唇に珠紀は視線を離せず、祐一にまだ足りないかと意地悪く笑われてしまう。

「まだ、もの足りないか?」
その台詞に珠紀は慌てて頭を横に振る。

 珠紀の全身が羞恥心に震えている。

誰が見ているかも解らないのにと思うと思わず周囲を確認してしまう悲しい性。

恥ずかしくて、顔を上げるのも本当に恥ずかしい。

すっぽりと珠紀の身体を包み込むように抱きしめる祐一は腕の中にある温もりを幸せだと思う。

 ずっと人と違う化け物だと思う自分がいたから。

自分は人だと思っていた幼い頃に人ではないと突きつけられたときの衝撃。

人並みの幸せなど手に入らないのだと突きつけられた瞬間。

人との距離がわからず自然と心が凍りつく感覚。

人と関わることが苦手となり自然と避ける様に関わらないように生きてきた自分がこの腕の中にある存在に人であるのだと幸せを求めてもいいのだと教えられた。

か弱く儚くただ弱弱しく泣く無力だと悲しみながらも決して現実から逃げず戦い続けた彼女がどれほど大切であるか愛しい人間であるか祐一の人生を真逆に反転させた人。

 ただ、愛しいという感情が愛であるのだと気付くのが少し遅れはしたが彼女の想いを受け止める勇気が自分にはなかったことが自分自身に自信がなかったことも原因にもあった。

自分は人ではないと否定され付けたことが卑屈に心を閉ざしていたのだ。

彼女が自分を変えてくれた彼女の存在が今の自分を創ったといのも過言ではない。

愛しくて愛しくどうしようもない宝物。

全ての厄災からもこの身を呈してでも守りたいもの…自分の命そのものだった。

「…足りないです…よ?」
珠紀が恥ずかしいのを我慢して、恐る恐る顔を上げ祐一を見つめる。

「珠紀?」
「私は…祐一先輩が傍にいないと…寂しくて死んでしまいます」
これは珠紀の偽りない本心だった。

 いつもそこにあると信じていた祐一が傍にいないだけで自分はおかしくなりそうだった。

素直な気持ちをぶつけることは恥ずかしくなどない。

受け止めてくれる相手がいるから我がままにもなれるのだから。

「…俺も死んでいた。珠紀が傍にいなければ…生きてないなどいられない」
祐一は頬が緩むのを感じた、恋人が同じだけの気持ちで自分を欲してくれたからだ。

 自分達は二人でい一つの運命だから…一時だって瞬きする間も惜しいのだ。

「祐一先輩…好きです」
「珠紀…愛してる」
互いの体を強く強く抱きしめて、離さないと絶対離さないと愛する者を抱き込んだ。

 夏の強い日差しが二人に降り注ぐ。


 蝉が一斉に大合唱、蛙も負けじと鳴いている。


 夏休みはまだ始まったばかりだった。






  ―完


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[緋色の欠片二次小説
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